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2-4. 費用平等化補助金

 

費用平等化補助金の目的は、各自治体行政サービスの実際の費用を平等化するのではなく、行政サービスヘの需要度の差異や、行政サービスを提供する際のさまざまな前提条件の差異を平等化することである。言いかえれば、「構造費用の違い」(strukutuella kostnadsski lnaderna)を平等化するのが目的である。費用平等化の方法は、県および市ともに同じ考え方に基づいている。すなわち、県あるいは市のさまざまな業務−例えば、高齢者福祉や児童福祉などの項目−について、それぞれの「構造費用の違い」をさまざまな要素を元に算出する。また、建築費用や暖房費用などについても、一つの項目とし、構造費用の違いを算出する。

それぞれの項目について、各市あるいは各県の費用を住民一人当たりで平均化する。これは標準費用と呼ばれるが、「構造費用の違い」を反映したものになる。各標準費用の合計を、市あるいは県の構造費用という。この構造費用が全国平均より高くつく市あるいは県は、構造費用が平均より低くつく市あるいは県から国を介して補助金を受けることになる。

自治体間の構造費用の違いは、とりわけ人口の年齢構造や過疎の状況や人口が密集しているかなどに左右されることが多い。自治体歳出のおよそ7割は、高齢者福祉、児童福祉、学校教育への支出である。したがって、どの年齢グループの人口が多いかによって、必要な費用が異なる。また、一般に住民間の地理的距離が大きい過疎地では、学校教育や高齢者福祉の費用が高くつく。また、大都市では、一般にその他の地域にない問題がある。例えば、大都市では、大衆交通や児童福祉への需要が高い。

各項目および、各項目の費用を算出する際の要素は以下のようになっている。

<費用平等化算出の各項目と要素/市(項目−各要素)>

1]児童福祉−年齢構造、両親の就労頻度、税収力、人口密集度

2]基礎学校(小・中学校)−年齢構造、母国語教育、過疎の状況

3]高等学校−年齢構造、プログラムの選択(専門高校の場合、一般に理論系のプログラムより実技系のプログラムの方が高くつく。)、下宿の状況(希望のプログラムが在住市にないために、他市の高等学校に通うために下宿しているか)

4]高齢者福祉−年齢構造、男女別割合、過疎の状況、従前職種、夫婦同居の状況

5]個人・家族福祉*−15歳以下の子持ち単身女性、北欧外出身住民、フィンランド出身住民、教区間の移動状況

 

 

 

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