2. 地方自治体の財政
ここで、自治体財政についてもう少し詳しく見てみよう。スウェーデンでは、『住民に身近なサービスはなるべく住民に身近な政府によって提供する』という原則に従って、地方自治体はさまざまな住民サービスを提供する責務を負っている。スウェーデンの地方自治体は主として、県(landsting)と市(kommun)である。市は全国に288あり、県はいくつかの市を包括するより広域の自治体である。なお、スウェーデンでは、県と市はそれぞれ異なる業務に責任を持つ並立した自治体であり、県と市は一定業務に関して協力関係にはあるが、県が市を指揮監督するといった上下関係はない。
市の主な責務は、社会サービス、基礎学校(小学校・中学校にあたる)・高校などの学校教育、コンブックス(komvux)に代表される成人教育、土地・住宅・建築政策、市内の清掃、環境・保健政策、消防、余暇・スポーツ政策、文化政策、民間防衛、電力・水道・廃棄物、エネルギー計画、地域交通(県と共同で)などである。