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住民の生活に密着したサービスは、住民にもっとも身近な政府・市によって提供されていると言えよう。一方県の主な責務は、保健医療、社会活動(児童・青少年問題のカウンセリング、性的問題のカウンセリング、市の社会サービスの補足)、地域交通、文化行政、教育(医者以外の保健医療に関する学校教育、農業教育)などである。

市の歳入を見てみると、自主財源(地方税および一般国庫補助金)が約7割を占めており、特別国庫補助金が極めて少ない割合を占めていることから、市の業務への国のコントロールは極めて少ないと推察できる。また、歳出を見ると、教育、高齢者・障害者福祉、児童福祉が市の三大業務であると言える。一方、県の歳入・歳出を見てみると、自主財源が大きなウェートを占めており、保健医療が圧倒的な業務であることが分かる。

このように、自治体に大幅な自主財政が認められているのは、それぞれの自治体が地域の状況に見合ったサービス提供をするのを促進するためである。しかし、自治体の自律財政を確保する一方で、自治体間の財政規模を平等にし、サービスに自治体間格差が広がらないようにすることも重要である。高負担の福祉国家では、住民の高負担への合意を得るためには、平等なサービス提供は不可欠の要素であるからだ。

 

図4 1996年・県歳入内訳(%)

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