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図3 国および公共部門の財政貯蓄(対GDP比)1950-1994年

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出所 Margareta Ringqvist, Om den offentliga Sektorn, 1996.s.126.

 

この下降の要因は、第一次オイルショックに引き続き起こった不況によって、歳入が伸び悩んだことと、失業者増加により公共支出が増加したこと、公共部門による建築が引き続き行われたことによる。しかし、1982年以降次第にプラスヘと向かい、1980年代後半の好景気には最高6パーセントにまで上昇した。しかし1991年に不況にともなう失業率の増加や消費抑制の傾向によって、財政貯蓄は急激にマイナスヘと向かった。しかし、1994年を境に財政貯蓄は再び確実に上昇している。これは、国および社会保険部門の貢献による。1997年からは、国家債務の支払いがはじまり、通貨クローナが強くなった。GNP成長率などのその他の経済指標などからも、スウェーデン経済は90年代前半の危機を脱したといえるだろう。

 

1-3. 公共部門と市民

 

公共部門と市民生活はどのように関わっているだろうか。ここで、公共部門の歳入と歳出について政府別・項目別に見てみよう。公共部門の歳入は圧倒的に税金である。とりわけ、地方税と社会保険料が大きな割合を占めており、それそれ公共部門歳入の4分の1強を占めている。社会保険料は、近年被雇用者負担分が強化されつつあるが、割合としては依然として主に雇用者負担である。地方税は所得に対して一律に課される地方所得税によって構成されている。公共部門の歳入は、文字通り市民によって支えられているといえる。

公共部門の歳出をみると、市民生活のさまざまなステージで提供される所得保障−すなわち社会保険−への支出が、国業務の合計支出に匹敵するほど大きい。また、自治体レベルでは、医療や教育、高齢者福祉、児童福祉への歳出がかなりの割合を占めている。公共団体の主な歳出は市民に身近なサービスヘ支払われていると言えよう。

 

 

 

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