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第III部

スウェーデンの財政政策と税制−研究報告

 

スウェーデンが福祉国家を標榜し始めたのは、今世紀初頭に遡ることができるが、豊かな福祉国家が花咲いたのは、60年代の高度経済成長期以降と言える。高福祉国家として名を馳せているスウェーデンは、豊かな福祉国家として評価される一方で、高負担を取り上げられては批判の対象にもなってきた。なぜ、スウェーデン国民は高負担を受け入れてきたのだろうか。それはもちろん、高負担に見合った高福祉を手に入れたことが最も大きな理由であろう。そして、国民が高負担に納得する重要な要素は、税が一部のグループに有利にならないように平等に徴収されることであり、徴収された税が国民の生活に平等に分配されることであろう。福祉国家スウェーデンの税制は、まさに平等なシステムを獲得するための試行錯誤の結果である。

 

1. 公共部門と財政

 

公共部門の定義はさまざまであるが、一般に公共部門の定義には以下の3種類があげられよう。すなわち、1]政府のみ、2]政府および政府の商業的活動、3]政府および政府の商業的活動と国・地方自治体が所有する企業等、の3つである。

スウェーデンの国家会計報告では、定義1]を採用している。

スウェーデンの公共分門は、国家会計上大きく3つに分類できる。

?社会保険部門−国民健康保険、国民付加年金(AP基金)、両親保険、失業保険など。

?地方自治部門−県(landsting)市(kommun)境界コミューン(kyrkokommun)。

社会保険部門は、会計報告上一つの部門とされているが、実際には国によって運営されており、この意味では広義の国に含まれるといえる。

 

 

 

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