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1-1. 公共部門の歳入・歳出

 

公共部門の主な財源は、直接税、間接税、社会保険料である。1997年の公共部門の歳入内訳は、直接税3,946、間接税2,836、社会保険料2,644、利子収入604、その他897であり、合計10,927(億クローナ)であった。(文献3])割合にしてみると、直接税36パーセント、間接税26パーセント、社会保険料24パーセント、利子収入6パーセント、その他8パーセントであった。社会保険も税金と考えれば、税収が8割以上ということになる。

公共部門の歳出は、移転支出、消費支出、投資支出に大別される。移転支出は公共部門の最も大きな支出分野であるが、移転支出に含まれるものは家計・企業への移転や海外への移転も含まれる。また利子支払いもこの移転支出に分類される。消費支出は公共部門によって運営されている活動、たとえば教育、保健・医療、防衛などに対する支出である。投資支出とは道路などのインフラストラクチャーや、病院、学校、劇場、事務所などの設備を整えるための投資である。1997年の公共部門の歳出内訳は、移転支出6,202、消費支出4,493、投資支出424、合計11,119(億クローナ)であった。(文献3])割合では、移転支出56パーセント、消費支出40パーセント、投資支出4パーセントであった。

公共部門歳入・GDP(国内総生産)比の推移を見てみると、税収入の増加にともなって公共部門の歳入が増加してきたことが明らかである。1950年代、60年代の歳入増加の主な要因は、家計所得からの直接税収入と消費による間接税収入の増加による。1950年と70年の税収入対GDP比は20パーセントから40パーセントに倍増している。1990年−91年の税制改革により、1990年以降税収入は下降している。

公共部門の歳出・対GDP比の推移を見てみると、1950年代から80年代までほぼ持続的に伸びている。この支出増の理由は、造船業、鉄鋼業、森林産業への援助といった労働政策と、医療・児童福祉・高齢者福祉の充実などである。1982年には、公共部門歳出の対GDP比は、62パーセントにまで上昇したが、これ以降は下降した。しかし、1990年代初頭の不況の影響で、歳出は急上昇する。この理由は、家計と企業への所得の移転であった。1994年になって移転支出が押さえられ、その結果公共部門の歳出も減少した。

 

1-2. 公共部門の財政貯蓄

 

公共部門の財政貯蓄は、歳入と歳出の差異である。1950年代半ばから1970年代後半まで、財政貯蓄はプラスであった。しかし、その後下降し、1982年にはマイナス7パーセントになった。

 

 

 

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