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年金財政の将来収支見通しは、戦争直後に生まれた団塊の世代の高齢化を念頭に置いているが、年金のピークは実は今の団塊一世のジュニア(今20代の中頃)が年金受給者になる2045年から2050年が一番高いと言われている。今のまま放置し負担割合を変えなければ、2025年には厚生年金保険料率は17.35%が34.5%にまでなってしまうので、早く保険料をあげる必要があると厚生省は主張している。ところが以下に示す調整を行なうと、2025年段階の年金保険料は17.35%で間に合う。

 

図2 2025年度の年金保険料は現行水準以下におさまる

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それでは、何をすればいいのか。

1]高在老の導入

「高在老」とは、65歳から69歳までに対する在職老齢年金の専門用語である。昭和60年の年金改正の結果、働いていても65歳になると年金保険料を払わない、給与が高額でも年金は減額されない制度になった。しかし、65歳を越えて現役で働く人から年金保険料を徴収してもいいのではないか。更に、高額な給与を得ている人には年金を減額、あるいは支給を停止することがあってもいいのではないか。これが高在老導入の意味である。これによって、ピーク時の年金保険料は1%下がる。

2]既裁定分の物価スライド化

今回の法案で、年金は当分の間物価スライド化が行なわれることになった。厚生省によると、物価の上昇率は年1.5%、賃金上昇率は年2.5%とされ、1年間で1%の差がでる。一年間に1%という数字は小さいように見えるが、これが20年続けば年金給付を減らすという意味から財政効果は大きい。今の日本の財政状況を考えると、物価スライド化はやむをえないのではないかと判断する。日本のサラリーマンOBの場合、年金は月額20万+αである。

 

 

 

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