5 フランスの動向
フランスは年金では一番難しく、ややこしい国である。1999年4月にジョスパン内閣の下で新しい年金改革に関するドラフトが発表されたが、アイディアレベルで法案化されていない。このアイディアの主たる調整内容は、モデル年金の受給にかかる要件の変更である。
フランスは、40年間保険を払込めば60歳からモデル年金を受給でき、40年払込めば60歳から減額無しでモデル年金を受給できる制度である。そこで将来は、42.5年間保険料を支払えば60歳から減額無しでモデル年金を受給できる制度にすることを提案している。これが、1999年4月にジョスパン内閣が提案した内容である。
フランスは早期退職が最も進んでいる国の1つで、余り長くは働かないので拠出要件を強化することはなかなか難しい。今まで40年拠出すれば満額年金が支給されたのに、これからは42.5年払込まなければ満額保険をもらえない。
しかも、42.5年の支給拠出の可能性は殆ど無くて、実際には40年しか払込をしていない者や35年しか払い込まない人達が多数いる。そのような人達の年金額の計算式はどうなるかというと、モデル年金に42.5分の払込み年数の割合を掛けたもので年金を算定することになる。要するに年金を減額することである。それで調整するのがジョスパン内閣の考え方である。
ミッテラン大統領時代に支給開始年齢を60歳に変えた。これは、かつて払込期間が37.55年あれば60歳から満額年金出すという制度から、現行の40年に変えたものある。
昔は37.5年保険料を払えば、60歳から減額無しでモデル年金が支払らわれていたものを40年の支給拠出に変更したもので、その40年を更に強化する案をジョスパン内閣が提案したものである。