共和党は、従来から小さな政府路線であるので、連邦財政が黒字であるなら減税をすべきであるという考えであり、国の財政に余裕があるのなら、財政支出を膨らませるのではなく、減税をして財政収支の均衡を図り黒字分は国民に還元すべきであるという考えであり、基本的には小さな政府路線で従来と変わらない主張をしている。
日本でも紹介されているようにアメリカでは401Kが、株高とともにブームになったが、相対的に所得の高いグループや中間所得層は、株式にお金を投資して、株高に支えられてかなり儲け、老後所得もそれなりの厚みがついたという事実認識がある。これで株価が弾ければ新たな展開があるのだが、とりあえず弾けるような状況にはないということで401Kが大変なブームになっている。
ところが、所得が低いグループ、所得が中から下のグループはこの401Kの恩典に与かれない。そこで、クリントン大統領は年棒が約40,000ドル程度、これはアメリカのサラリーマンの平均所得(ブレア流でいえば、20,000ポンドに相当)以下の階層に対して、連邦政府の黒字を使って老後所得に厚みをつけることを提案した。
これがクリントン大統領のUSA(Universal Saving Account)である。USAプランは、新しいタイプの政府が進める401Kと思えばよい。
これは、年俸40,000ドル以下の人が利用できるものであって、所得の高い人には恩典はない。具体的な内容というと、新しいUSAプランは、個人勘定の掛金建ての年金であるが、そこに個人が拠出をすれば政府が上乗せをするというものである。
最初に無差別に年俸が40,000万ドル以下であれば、年額で先ず100ドルを全員共通に連邦財政資金の中から支給し、その上に個人が拠出を上乗させるもので、例えば年間に600ドルを個人が拠出したら、その分に相当する300ドルを連邦財政の黒字の中から資金資金の上乗せをする。100ドルは最初から平等にばらまき、これで老後の所得の厚つみをつける努力を勧め、個人がその上に上乗せすれば上乗せの半分を連邦政府の支出で更に上乗せする。所得の低いグループにも401Kで、老後所得に厚みをつけるような器をつくるから、協力して下さいというのがクリントン大統領の考えである。
これも年俸40,000ドルでラインが引かれ、それ以上の人達には手当はない。所得が高いグループには連邦財政のお金は使わない。所得の低い人達に対して、連邦財政の黒字分から財政支出するから新しい401Kを買いなさい、という形の提案をしたわけである。
これは私的年金であって、公的年金ではない。今まで401Kを利用できなかった階層に対して、国の資金を付けましょうというのがクリントン大統領のアイディアで、まだアイディア段階であり、民主党の考えにもなっておらず、まして法案化の努力をしている段階ではある。
民主党はどちらかというと、連邦財政の黒字は減税して還元するのではなく、財政支出を新たに作って、今まで手当の足りなかった階層に対してお金を付けていくことをしようとしている。社会保険・医療的なものにもお金を付けるとか、減税ではなく財政支出の拡大を考えている。