日本の公的年金の保険料はサラリーマンでいうと17.35%で、所得が低くても高くても皆同じ保険料であるが、イギリスの制度は、今でも所得の低いグループは軽減料率といって、所得の低いグループは年金保険料がそもそも低い。これは、事業主の負担を軽くするのが主たる目的であったが、平均賃金(年俸20,000ポンド)以下の階層に対しては標準の年金保険料率を徴収しないという考え方である。
基本的に自助努力で積立ての出来ない階層には、公的年金で定額保護を2倍にする。その次の階層に対しては、年金保険料を低いレベルにするので自分で将来に備えなさい、備えたら税制優遇をします、というのがステークホルダー年金である
ただし、平均年俸が20,000ポンドを超えた階層には従来通り何もしない。従来から政府管掌の年金に加入しておらず、企業年金・個人年金に加入しているグループの人々は何も変わらない。
制度としてどこが変わったかというと、平均賃金以下の階層に対してのケアーが手厚なったことである。定額で所得の低い人にプラスアルファーをつけて、基礎年金の2倍給付を約束をしている。平均年俸が20,000ポンドから9,000ポンドまでの階層にはステーホルダー年金で、公的年金保険料を低くするから私的な年金保険に加入しなさい、そうすれば税制面で優遇します、というのがブレア首相が公表したグリーンペーパーの内容である。
特に、所得の高いグループには従来通り何もしないけれども、所得に低い階層は自助努力も難しいので定額の年金を支給する。その次の階層は、自分で拠出をして将来に備なさいという自助努力を奨励しており、大変大胆な政策の展開といえる
これがブレア首相のグリーンペーパーである。最近のニュースによると、これの法案に動いているようであり、グリーンペーパー自体はアイディアを投げた段階であったが現在では法案化で動きだしたようである。
2 アメリカの動向
アメリカでは、1999年の1月の大統領の年頭教書で、クリントン大統領が新しいプランを発表した。この新プランはUSAプランと言われている。
この発表の背景には、従来は長く財政赤字に苦しんでいたが、連邦財政は黒字に転換したということがある。だだ、連邦財政が黒字に転換したと言っても、公的年金の方は従来も財政的には黒字であったから、今回の新プランはそれに負う部分も多い。この連邦財政の黒字部分をどう使うか、ということが民主党と共和党の間で大問題になった。