例えば、国家公務員、地方公務員、農協の職員、私学の職員が国の厚生年金に入ず、適用除外の自分達の年金を持っているように、イギリスの大企業グループや古くから企業は自前の企業年金を持っていて、その企業年金で公的年金相当のことを実施すれば公的年金には入らなてもいいという制度である。
二階部分の給付については適用除外の制度があり、政府管掌の年金に入ているイギリのサラリーマンは現在2割、その他は企業年金かあるいは個人年金である。またサッチー時代には、総てが個人年金でも良いことになった。転職を繰り返すような人は個人年金がベダーであり、個人年金と企業年金の人達がサラリーマン全体の8割で政府管掌の年金は2割である。この傾向は、1990年代半ばから顕著である。
ブレア首相は、政府管掌の年金を廃止することにした。二階部分は2割のサラリーマンしかおらず、後は企業年金なり個人年金であるから政府管掌の年金はあまり意味を持たくなり、代りの制度としてステークホルダー年金と第二年金を導入することとした。
第二年金というのは定額の給付で、所得の水準の低い人達、平均年俸(イギリスのサラリーマンの平均年俸は20,000ポンドである。)が半分以下の階層(年9,000ポンド)等々最も所得の低いグループについては、国が定額の年金を上積みする、というものである。
一階部分の定額基礎年金に、二階部分に更に低額の年金(所得比例ではなく)を乗せというものである。一階・二階の定額の年金を合わせて、若い頃から稼いだ賃金の4割程度の給付を公的年金として出すものである。これは平均賃金以下の階層を念頭に置いてのものである。
ステークホルダー年金は、平均年俸(20,000ポンド)よりは低いけれど極端に低いというわけでは無い階層のためのものである。これは、今日本で言われている401K年金に相当するもので、個人が資金を拠出し運用しマーケット次第で給付が多くなったり少なくなったりするものである。基本的には民間のもので公的制度ではなく、いわゆる民間の掛金建ての年金制度で、とりあえずステークホルダー年金と呼んでいる。
これは、平均年俸(20,000ポンド)以下で9,000ポンド以上の階層を念頭に置いており制度としては新しいものであるが、公的なものではなく私的なものである。ただ私的ではあるが、所得の低いグループが全員拠出して老後所得に厚みをつける格好で、政府が優遇するものである。
具体的には、先ず税制面での優遇とともに、標準の年金保険料よりも低い年金保険にして給付は今まで通りとする。代りに浮いた資金を新しいステークホルダー年金に投資してくというものである。公的年金の保険料の拠出を少なくして、貯蓄に回す資金を足し合わせて、ステークホルダー年金に資金を回せば税制の優遇をします、という制度である。