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●医療と福祉の連携

「パートナーシップ」がキーワードになる中で、医療と福祉の連携がどこまで進むかも注目される点である。両者の連携はこれまでにも再三言われてきたことであり、とくに目新しいことではない。しかし、高齢者対策に向けて省庁間の連携グループができたり、高齢者本位の政策のあり方を追及する実験事業(BGOP)が実施されたりと、これまでになかった動きも見られている。また、医療サービスの視点が治療中心から健康増進や予防、リハビリなどにシフトしてきたことで、福祉との連携を前提とせざるを得ない状況も生まれつつある。新しく設置されたプライマリーケア・グループが、医療と福祉の連携をどこまで前進させられるかも注目される。さらに医療と福祉に留まらず、ベストバリューや全国指標などの現場での適用を通して、住宅や交通、環境といった政策分野の施策連携がどこまで進むかも注目される点である。

 

●高齢者の所得確保問題

高齢化の進展と後期高齢者の増加とともに、高齢者の所得をどう確保するかも大きな政治的テーマとなる。ブレア政権は年金生活者の収入に占める政府負担の割合を徐々に引き下げることを明らかにしており、個人が責任をもつ部分が今後さらに増えてくるのは確実である。生産年齢人口の割合も低下することになり、年金財源を誰が負担するかが問題になる。年金額を下げるのか、それとも税率を上げるのか、あるいは年金開始年齢を引き上げ、健康な人は仕事が継続できるようにするのか。政府はとりあえずば年金制度の改革により、低所得層の年金加入を容易にするとともに、介護者や女性の立場の強化につながる措置の導入を明らかにしている。

 

●長期ケアコストの公私分担のあり方

さらに、長期ケアのコスト分担についての王立委員会の提言も政治的論争となりそうである。同委員会は「長期ケア」を医療と同じように「普遍的リスク(universal risk)」と捉え、それにかかるコストは個人の資力を問わず国が負担すべきと主張する。ここには高齢者の福祉ケアについての、国と個人の契約関係および責任分担についての新しい考え方が示されている。この提言は広い方面から支持を集めており、政府もこの提言内容を2000年の予算レビューの中で検討することを約束している。

 

●介護技術の向上と新しい専門性の開発

これからどのような専門性が成長してくるのかにも注目したい。ベストバリューの導入などを受けて、自治体のソシャルワーカーはコーデイネーターとしての能力、例えば民間業者やNPOとの契約交渉や市民との連携のとり方といった面での技術研修に取り組んでいるという。NPOにはプロとしての能力が期待されているし、政府はすべてのケアスタッフの技術向上を図る方針を発表している。どの公共分野をとっても今後大幅に公費が増えるという状況は考えにくく、限られた資源を効率的に使って増加する需要に対応する専門能力が問われている。したがって、今後は一つの専門分野だけでは問題の解決は難しくなり、他の分野とのパートナーシップ、そしてそれを可能にする「スキルミックス」による専門性がますます重要になると予想される。

 

 

 

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