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◆所得補助(無拠出制給付/資力調査あり)

所得補助は日本の生活保護に相当するもので、国民保険の納入には関係なく、16歳以上の国民に資力調査に応じて支給される。年齢および障害度などに応じて基準所得が決められており、所得がそれに達しない場合に、その差額分について給付が受けられる。ただし、資力調査で資産が£8,000以上あれば給付は受けられない(施設への入居者は£16,000以上)。基準所得は60-74の単身者(障害がない場合)で£75/週、カップルで£116.6/週である。所得補助が認められると歯科治療や眼鏡などが無料となる他、住宅手当や地方税給付などもほぼ自動的に受けられる。なお、1996年10月から失業者への所得補助はなくなり、求職手当に代替されている。したがって、60歳未満の場合は求職手当に、60歳を超えると所得補助を申請することになる。

 

◆社会基金(無拠出制給付/資力調査あり)

社会基金は低所得者が例外的に必要となる費用に対して支援される給付である。タイプとしては「葬式給付(Funeral Payments)」や「寒冷時給付(Cold Weather Payments)」などがあるが、この他調理器具や寝具といった生活必需品に対しても、「コミュニティケア補助金(Community Care Grants)」「家計助成ローン(Budgeting Loans).「危機回避ローン(Crisis Loans)」などが用意されている。他の社会保障給付と違って選択制であり、年間予算(基金)にも制限があるため、すべての申請が認められるわけではない。また、60歳以上では£1000が支給額の上限となっている(60歳未満は£500が上限)。

 

◆障害者生活手当(無拠出制給付/資力調査なし)

病気や障害をもった人がパーソナルケアや集中的な付添いなどを必要とする場合に給付される。表22にあるようにDLAとAAの2つのタイプがあるが、どちらを申請するかは年齢によって異なり、65歳未満はDLA、65歳以上はAAを申請する。無拠出制給付であり、資力に関係なく支払われる。AAの場合の給付額は、日中と夜間両方のケアを要する場合が£52.95/週、日中あるいは夜間どちらかのみの場合は£35.4/週である。DLAの場合はAAの給付に加え、軽度のケアを要する場合の手当て(£14.05)、一人で外出ができない場合の手当てなどが追加メニューとして用意されている。これら2つの手当ては受給者のニーズによって決まり、すでに付添いがいるかどうかといった条件は勘案されない。また、給付を受けた現金をどのように使うかも本人の自由で、例えば妻や娘の介護に対して支払うこともできる。ただし、地方自治体からサービス提供を受ける場合には、受給した手当てはサービス料として徴収されることが考えられる。

 

◆障害者付添手当(無拠出制給付/資力調査なし)

介護をしているために職に就けない人のための手当てで、上でみた障害者生活手当などの受給者を週35時間以上介護している場合に支給される。給付額は£39.95/週で、国民保険の納入は条件とならない。介護を受ける人と介護者の関係は夫婦や親族である必要はない。この給付を受けるためには65歳になる前に申請することが必要だが、一度認められると65歳以上になっても給付は継続される。ただし、週に£50以上の収入がある場合は受給できず、また所得補助や年金で週に£39.95以上の給付があると手当ての重複となり、受けられない可能性が強くなる。

 

 

 

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