これらのサービスの利用状況をみると、65歳以上の8%が自治体のホームヘルプサービスを利用しており、うち75歳以上だけでみると15%となっている。また、単独世帯の方が夫婦世帯よりも約10%利用率が高くなっている。民間のホームヘルプの利用状況も自治体サービスに類似した傾向がみられる。訪問看護は医療サービスの一つだが、65歳以上全体では6%の利用率なのに対し、75歳以上の単独世帯では13%の利用率となっている(表18)。
これらの在宅ケアサービスの利用率は、ここ20年間でそれほど変化していないとされている。高齢化が進んでいるのに利用率の変化が小さいのは、自治体のサービスが要介護度の大きい高齢者に集中的に提供されるようになっているためである。とくにホームヘルプについては、かつてのような掃除や買い物といった家事支援サービスは少なくなり、要介護度の大きい高齢者への身体介護(パーソナル)サービスが中心になってきている(表19)。このため要介護度の小さい高齢者へのサービスが犠牲となり、予防やリハビリ面での対策が不足するとともに、高齢者の生活の質の低下につながることが懸念されている18)。