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ここで大事なことは、英国では独り暮らしが個人の選択としてなされていることである。最近実施された調査でも、「ケアが必要になったときに親類や友人と一緒に住みたい」と答えたのは10人に1人である3)。すなわち、ほとんどの高齢者が要介護になっても1人あるいは夫婦だけで生きることを望んでいることになる。

 

表3 高齢者世帯の世帯形態(1996/97:GB)

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出所:Social Focus on Older People (1999)

 

2) 高齢者の経済生活

高齢者の平均収入は夫婦などのカップルが£286/週、単独世帯が£146/週で、年金生活者一人当たりでは£199/週となる。収入構成では基礎年金などの社会保障収入が半分以上を占め、職域年金が約1/4となっている(表4)。このように単独世帯での所得の低さが目立っているが、上でみたように高齢の単独世帯は増加する傾向にあり、とくに単独世帯になりやすい高齢女性の低所得が一つの問題として指摘されている。

一方、高齢者の貯蓄をみるとその額は全体的に少なく、男性の54%、女性の60%が£3,000以下の貯蓄額で、さらに「貯蓄なし」が男女ともに約4人に1人となっている。£20,000以上の貯蓄額を有するのは男性で12%、女性では8%のみである(表5)。

 

表4 高齢世帯の平均収入(1996年) (1)

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注1) 施設入居していない高齢者(65歳以上)の平均値

出所:Royal Commission (1999)

 

 

 

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