3. 今後の対策推進のために
(1) 高齢者介護ケアと財源
先ず介護サービスの財源の確保が先進国の先例を見ても明らかである。そして、サービス提供のための財政についてはきちんとした計画がなければならないのは言うまでもない。こうした問題が解決されなければ、国民の独自負担はますます拡大する。公的サービスが受けられないから無認可の施設を利用するようになっている。また、国民皆保険を利用した社会的入院を助長させてもいる(1995年台北市における病院の報告によると、15%に近い入院患者は社会的入院者である)。したがって今後さらに増加する高齢者の長期介護についての有効な方法が打ち出されねばならない。そのためにもその計画と財政対処する仕組が構築されなければならない。
そして、コミュニティと施設サービスを共に発展させて行く努力をしなければならない。先進諸国の例も参考にすべきである。国民のニーズに対応し、効率的なサービスを提供し、高齢者の持続的ケアが保障されるべきである。
去りつつある20世紀は、台湾においても人口変化が激しく、それは社会変動にも大きな影響を与えた。来る21世紀には高齢人口の激増が再び台湾社会を変革させるのであろう。特に高齢者介護ニーズは大幅に増加することは避けられないから、高齢者ケアについては中長期の計画をもって対応構築することが重要なこととなる。
(2) 高齢者の社会参加
1995年劉梅君が台湾の高齢人材資源の活用状況について調査した資料によると、台湾では政府にしても民間にしても高齢人材の活用施策はほとんど見られない。その原因は国民の高齢化社会への認識が低く、高齢化社会に対応した具体的方針や総合的対策がないからである。日本では1986年「長寿社会対策大綱」(1996年「高齢社会対策大綱」に改正)を高齢社会対策の基本方針として打ち出している。これにより国の総べての対策が高齢化や高齢者問題を念頭において、高齢社会へ対応してゆくよう規定している。そうした下で、高齢者の社会参加についても、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」を制定し、雇用主に高齢者雇用を義務づけさせ、行政指導などを通して、企業の高齢者雇用の意欲を奨励し、また各種の組織団体を通して推進している。台湾においても、社会が「老年」に対して持っているマイナスイメージをかえさせる社会教育を展開するとともに、高齢者の社会活動を図る関連法令を制定することなどを高齢者の介護ケアと合わせて、重要な高齢者対策とすべきである。
<以上、張明正論文より>