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このことは高齢者の社会的介護ニーズを増大させることとなる。伝統的な大家族へのノスタルジァは放棄し、近代化社会における家族形態やその機能を見極め、高齢者ケアに対応して行かなければならないであろう。

2] 無認可施設の氾濫

無認可の老人施設が増加している。認可された施設が不足しているため、無認可施設を生み出しているといえるが、それは行政の設置規準等が厳しいからでもあるといわれている。無認可施設とは言え、社会はそれを必要とし利用しているのは、入所費用の低さや地域に密着している等の利便性もあるからである。そして何よりも行政指導が厳しくないからかとも言われている。先進国では施設の公設民営も行われており、施設の整備と運営にはさらに開かれた視点で取り組んでいく必要がある。

3] 施設の種類とサービス内容

福祉と医療保険のシステムのもとに「長期照護機構」(長期介護施設)、「養護施設」(特別養護老人ホーム)、「慢性病床」(慢性病棟)、「護理之家」(ナーシングホーム)など4種類の施設サービスがある。行政側は機能障害程度と技術的サービスのニーズに踏まえて、これら4種類の施設の入所とサービス範囲を区分しようと試みたが、高齢者は治療や持続的介護など多様なニーズをもっているため、施設が提供しているサービスによって施設の階層を区別することができにくい。また、高齢者は入所後、身体状態の変化によって介護サービスの内容も変化してくるから、施設の階層をわざわざ区別させるのは実情に即さないからである。介護施設についてはその階級等種類分けにこだわるより、それを総合的に把握し、高齢者の需要ニーズに応えるよう図るべきであろう。

4] コミュニテイ・ケア対策の欠落

高齢者の長期介護サービスを増やすため、政府も介護ベッドの増床等努力をしている。また「栄誉国民病院」(中国大陸から台湾に移った退役軍人のための専用病院)のベッドを一般人に解放するような対応策を講じている。こうした施策によって、高齢者の長期介護サービス提供は今後大幅に発展することが予測できよう。しかしその一方、多くの高齢者が在宅ケアを望んでいることを考えると、コミュニティケアが益々重要になるが、コミュニティケアの促進が図られていないのが現状である。在宅サービス支援を必要とする高齢者にとって、現在は身近なサービスやサービスの選択の余地がなく、施設に入所するしか方法がないのが一般の状況である。これからの高齢化社会の趨勢を踏まえると、国民のコミュニティケア・サービスに対するニーズは一層増大するであろう。コミュニティケアづくりを怠ることは社会的ニーズに反した時代遅れといえよう。

 

 

 

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