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1. 台北市の高齢者介護サービスの現状

台北市の高齢者施策について主に長期的介護サービスを中心に紹介すると、台北市には公・私立の認可された養護施設のベッド数は1996年702床ある。そのなかの公費養護ベッドは182で、私立は520である。そのほか認可されていない養護施設は187か所あり、3,374ベッドがある。

これらの養護施設のベッドの平均使用率は63%で、入所している約2,554人の高齢者は介護サービスを利用している。そして、あと残り1,522ベッドも利用できる。しかし、上述した推定された3,763人の一人暮らし要介護高齢者を全員入所させると足りなくなる。また、呉淑瓊と徐慧娟の推定によると、台北市では1994年にすでに施設療養を必要とした要介護高齢者は6,326人いた。こうした数から見ると、現在のベッド数は不十分である。ちなみに、上述した1996年に養護施設に入所した人数が低い理由はこの調査が長期介護施設入所者を調査しなかったからである。

次に在宅サービスについてみると、台北市では4つの民間団体にサービス提供事業を委託している。そのサービス受給者は、毎日サービスの提供を受けている者が約450人であり、その内訳は中低所得世帯約250人(行政の補助を得る)、自費負担約200人と極めて少ない。膨大な在宅要介護高齢者の多くは家族等の介護を受けている。

デイサービスについては、現在台北市には内湖、信義、龍山の老人福祉センター及び広慈博愛院等の公的施設があるほか民間の養護施設にも委託実施しているが、最高118人しか利用できない。

そのほか、台北市では、「社区老人活動中心」(高齢者コミュニティセンター)を設立し、高齢者の勉強会、講習会、退職後の生活指導、余暇活動などのサービスを提供しているが、高齢者は行政が提供している福祉施策についてあまり知らないというのが現状である。広報活動を強化するほか、高齢者の相談センターを設けることなどで、高齢者の各種の福祉施策に関する認知度を高め、高齢者のニーズにマッチした福祉サービスを提供するよう図るべきであろう。

 

2. 高齢者介護サービスの課題

上述した台北市の高齢者ケアの需要と供給状況からわかるように、台湾における高齢者ケア等の問題については、そのサービスのほとんどを家族が負担しているといってもよい状況である。1998年呉淑瓊は高齢者介護施策の目標、資源、財政、運営等について検討し、提言をしている。その指摘する問題点と提言を以下に紹介する。

 

 

 

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