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上海市の定年者管理委員会は高齢者企業から得た利益を敬老院や高齢者活動室や憩いの場所と高齢者向けのマンションなどの高齢者福祉施設に使い、また高齢者の旅行、療養などの活動にも使っている。さらにまたそれらの高齢者企業は高齢者向けの事業に資金を提供している。

4] 「老有所学(生涯学習)」

「老有所学」は、高齢者が自分の健康保持や発展を図ろうとするとき、各種の知識を獲得する機会が保障されることを指す。上海市の高齢者に対する教育システムは1985年から始められ、高齢化の進行につれて、急速な発展が図られている。1997年末の上海市老齢委員会の資料によると、上海市で開催されている高齢者大学は、老幹部大学、老年大学、定年退職者大学、老齢大学の4校あり、生徒は併せて約5,000人である。その他の高齢者大学及び分校は約60校で生徒は1万人を超える。さらに街道や郷鎮が運営している高齢者大学と分校は約1,700校で生徒数は15万人にも達している。そのほかに、各種の講演会、巡回講座や読書会などが定期的に開かれ、高齢者を受け入れている。

高齢者教育を開催するねらいについては各学校それぞれに特性はあるが、主な方針はほぼ同じである。それは高齢者の心身の健康を目指し、精神的な欲求を十分に満たし、学習活動の中で楽しさを味わうことが出来るようにすることである。

1995年11月から、上海教育テレビが「空中老年大学」という番組をはじめ、1998年にはその登録受講者は約20万人になっている。

5] 「老有所楽(趣味・娯楽)」

「老有所楽」は、各種の文化、芸能活動の参加によって、精神的な充実感が得られることを指す。上海市の高齢者の余暇生活を豊かにするため、高齢者にとって近くて便利という原則に従って、各種の高齢者活動室が設けられている。1998年現在、上海市における老人活動センター、サブセンターの数は12,898か所ある。そのうち、区レベルの老人活動センターは10か所、街道・鎮レベルの活動センターは115か所、居民委員会レベルのサブセンターは2,411か所、そのほかコミュニティ地域(社区)に属する老人活動室である。

また高齢者自身が816の芸能団体を組織し、芝居、音楽、歌、踊り、ファッションショーなどにおいていろいろな才能を発揮し、晩年の生活を豊かにする活動も行われている。

 

(2) 上海の高齢化社会対策

1] 上海市の高齢化対策推進体制

人口高齢化対策事業の組織を整備するため、上海には上海市委員会老幹部局、上海市老齢委員会、上海市退職管理委員会、上海市社会保険管理局、上海市民政局老齢者保護弁公室などが相次いで設立され、主には老齢委員会を中心に組織化されており、すでにそれらの組織ネットワークの上で活動が展開されている。

 

 

 

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