福祉にも競争原理を入れて
福祉も聖域ではない。一律一〇%カットの対象には毎年敬老の日に八〇歳以上のお年寄りに支給していた「敬老祝い金」の廃止も含まれていた。祝い金の廃止は岩手県の市としては初めての、"快挙"である。また介護保険の実施と同時に市内九〇世帯に支給してきた月額五〇〇〇円の「寝たきり老人等家族介護手当」をやめる。これで浮く四〇〇万円を活用して紙おむつ交換券を配布することを検討している。
熊坂市長の狙いは明かだ。市の財政から徹底的に無駄を省き、その成果を福祉のまちづくりに振り向ける。市民にも応分の負担を求める。市民からもらってきた宮古市社協の年会費を九八年七月、一世帯五〇〇円から一〇〇〇円に引き上げた。病院送迎サービスや弁当宅配、介護機器サービスの開始など福祉サービス充実に市民にも原価意識を植え付けるためである。
ホームヘルプ事業は介護保険の開始と同時に激戦が予想されるが、人口五万五〇〇〇足らずの宮古も例外ではない。現在同市内でヘルパー派遣をしているのは宮古市社会福祉協議会と特別養護老人ホーム『サンホームみやこ』の二事業所だけだが、今年四月から老人保健施設、JAなど新たに四事業所が新規参人する。その中にはこの分野で全国制覇を狙うと豪語するシルバー産業のニチイ学館も含まれている。