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(本誌99年11月号「保険料が高いほど手厚いケアができる」参照)。さらに措置制度の廃止によって福祉の世界に競争原理を持ち込み、介護サービスの効率向上を促して福祉のまちづくりをスピードアップできる。介護保険の"中身?は、市町村長が創意工夫を凝らすかどうかによって良くも悪くもなるわけだ。

こんな介護保険を活用するため熊坂市長は一連の行・財政改革を矢継ぎ早に断行した。開業医時代の「やさしくて親切なお医者さん」は豹変。「やるときは最初から一気にやる」と荒療治に手を着けた。真っ先に保健・医療・福祉を一本化する機構改革、職員の削減・人件費の節約、情報公開制度の実施、転入・転出、各種申請をたらい回しせずに数分で終わらせるワンストップ式総合窓口の開設、市単独補助金の一律カット、市の資産のバランスシート作成と発表−といった具合である。

東北・北海道市民オンブズマンネットワークの調査によると宮古市の情報公開度は一〇〇点満点を獲得、県内トップにランクされた。ワンストップ式総合窓口は自治省の外郭組織・地方自治情報センターから「優秀情報処理システム」として表彰された。バランスシート導入は岩手県では初めてで、宮古のイメージアップに貢献した。

具体的な成果をいくつか挙げよう。九八年度は1]二〇あった課を四部一五課に統合、人員九人削減、2]管理職手当を三四五万円削減、3]時間外手当を六一三一万円削減、4]市単独補助金一律一〇%カット、5]事業の廃止や組み替え(スクラップアンドビルド)による節減額は七〇一万円。九九年度は1]職員一五人削減、2]時間外手当三一八四万円削減、3]見直し効果九五〇万円などだ。そのやり方は徹底している。たとえば市役所内の書類複写はすべて両面コピーを命じ、九九年度のコピー用紙の消費量を前年度に比べ半減させた。

 

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