ただ「やりなさい」と親が決めつけるのは最悪です。自分の子供の才能なり、基礎学力なりをわかっていてほしいし、有名大学、一流企業以外のコースもどんどん増えると思いますよ。学校の制度でよく「複線化」と言っていますが、たとえば中高一貫校や一回学校を失敗しても必ず復学できるようなチャンスのある学校もつくりましょうと。一回の挫折が人生の挫折ではない、そうした体制も十分つくっていきたいと思っています。
堀田 これだけの登校拒否児、学校崩壊というのは従来の詰め込み教育を拒否する子供たちの意思表ホなんですね。企業も同様で、最近では大卒で就職後三年以内に三分の一が辞めてしまう。これも黙って働けという姿勢に対する反発ですよ。これから本当に求められていることは、学校と企業、あるいは小・中・高校と大学のコーディネート、そして地域とのコーディネートです。地域の力も借りて人間教育をしていただく。ぜひその方向でお願いします。
中島 これから校長の裁量権がどんどん拡大していきます。それが適切な判断かどうかも当然、校長が責任を持つわけで、かなり特色ある学校づくりが進んでくると思いますよ。その点で地域とのつながりが大変重要ですからそうした声が学校に反映されるようなシステムをぜひ取り入れていきたいですね。中教審答申では「学校評議員」と表現していますが、その他にもたとえば学校をまず自己評価し、外部の評価もお願いする。ランク付けではなくて、決められた教育目標に対しての努力度を測るようなもの。そのようなシステムをつくることでも地域との結びつきを深めていけると思います。
「総合的な学習の時間」がめざす真の意義
杉浦 では現場の先生方が、そうした「心の教育」にどう取り組んでいけばいいのかについてお伺いします。総合的な学習の時間は教科横断型の学習ですが、特に中学・高校では自分の専門教科の時間数が減るなどと心奪われてしまいがちですが。