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中島 確かに意識だけで変えるのはむずかしいでしょう。要は今の大学入試のあり方が問題なんです。有名大学へ入るために小学校から受験戦争に巻き込まれるようなシステムをどこかで切り離さないといけない。大学は欲しい学生像を明確にして、熱意と基礎学力があれば受け入れるような受験の形が望ましいと思っています。ただし、現場の先生方も日々子供に接する中で、自分のやりたい道を見つけさせる、長い人生では一流大学、一流企業に入った人に比べても決して劣りはしないことを理解させる指導が非常に大切なんですね。

 

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堀田 親をどう説得するのかという難題ですが、一つはまず子供が「切れて」しまったらそれを戻すのに、それまでの何百倍ものエネルギーが必要になることを認識してもらうことです。勉強でも親ができないことを子供に強いない。そうしないと子供は切れますよ。もう一つは、少子化による社会の変化を理解させること。これからはがらっと変わります。子供の数が年一二〇万人弱の今、全ての子供たちの全能力を引き出して活用しないととても高齢消費社会は持ちません。ただ資格を取ること、いい学校にやること、これは昔の生き方、世代人口が多かった切り捨て社会の考え方であって今はむしろ逆。子供が意欲的に自らの道を見つけられるようにすることが親が安心できる最大の教育なんです。

杉浦 親も結局は子供の幸せを願っているわけですから、子供が幸せになる道筋が今までとは違うんだとわかれば考えも変えていけるかもしれませんね。

中島 子供が何をやりたいかを親がよく見極めて、どう伸ばしていくか。それが親の役目なんですね。そのための情報をいっぱい集めてあげる。

 

 

 

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