つまり今必要とされているのは、低所得者への福祉としての「介護」という従来型ではなく、自立した生活を送るすべての高齢者が、自立生活の困難な部分の援助を受けられる「生活支援サービス」としての「介護」を、受けられるようにすることである。そしてサービスの受け手と提供者が、意識の上で対等の立場にあることを最もわかりやすく理解させるのが、「保険制度」という方法だというのである。「介護こそ究極のサービスなのだ」というのが、営利法人でサービスの真髄を学んできた中熊さんの信念だ。
能率と効率の追求
そうした観点から3]の社会福祉法人の現状を見ると、そこでは介護は、生活保護とほぼ同じ手続きで行われている。「参入規制」「補助金」「定額の委託料」「横並び規制」などなど。特別養護老人ホームヘの入所も「措置」として行われるから、介護を受ける人には何の選択権もない。近くにホームがあってもそこに入れるという保証はない。中熊さんがアクティブライフ専務だった時、痴呆老人のためのデイサービス施設「中町倶楽部」(奈良市)が、三六五日無休で運営していたところ、奈良市から「週二日休んでほしい」と要請された。これも「横並び規制」の実例である。
今、大きな意味を持つのは、開かれた市場の存在であり、民間企業による新しい「価値」の提供である。良質な民間企業の原理からいえば、「利用者本位の事業の組み立て」が最も求められている。「能率と効率の追求」も必須の条件である。新しい価値を提供していくためには、適切な利潤と自力での拡大再生産が必要になるのは当然と、中熊さんは考える。
「二〇三〇年ごろ介護サービスを中心的に担っているのは、民間企業であることは間違いない」と中熊さんは明言する。「たとえばバリアフリーのアパートができて、しっかりした在宅サービスが提供されるようになったら、特養ホームの役割は大幅に小さくなるだろう」