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煩雑な補助金手続きや行政との交渉、さらにスタッフとボランティアグループの編成と二回にわたる研修などをやってのけ、予定通りのオープンにこぎ着けた。それも特別養護老人ホームで暮らす夫(七四歳)の見舞いをしながらである。

休日も「川路さんち」に顔を出す飯田さん。その苦労のほどを尋ねると「市役所の若い担当者や職員OBがよくやってくれたおかげです」と功を譲る。アイデアマンの市長、市長のアイデアを制度に組み立てる行政マン、そして新事業を立ち上げ自ら運営する市民の三者がかみ合って"一号店"ができ上がった格好だ。

 

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利用者のための昼食を作る台所。奥はスタッフ事務所。

 

豊かな市民の土壌を耕す

 

こんな地域興しを土屋市長は「地域を耕す」と呼ぶ。武蔵野市はもともと市民参加型のまちづくりが盛んな土地柄だ。たとえば全国に先駆けて学童保育をはじめた。これは地元の主婦たちのボランティア活動によって立ち上げられ、行政が支援して制度化された。いわゆる町の顔役が牛耳ってきた町内会や役所の下請け的な社会福祉協議会をいち早く廃止し、その代わりに市民主体の青少年健全育成地区委員会や武蔵野市民社会福祉協議会を設けている。第二行政機関となりがちな社会福祉協議会の中で「市民」の冠をつけた社共は全国でも珍しい。

 

 

 

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