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その結果、従来手厚い福祉が提供されてきたイギリスでは、まず第一に介護者、特に女性介護者の負担が増した。第二にサービスの総量規制を行い提供サービスが限定されることで、金銭的余裕のある人とそうでない人の間に格差が生じるという問題が起こった。

社会が成熟し高齢化が進む先進各国では行政が福祉を丸抱えし切れない。福祉自由化は、肥大化した公的な福祉部門の切り詰めと財政抑制の切り札として時代の必然ともいえる。また自由化が進めば効率も高まり、住民に自己責任の意識も植え付けることができる。サービスの選択の幅も広がる。両者の折り合いをどう付けるのか、それが福祉の自由化を成功させる大きな鍵といえるだろう。

 

英国のNPO

介護者ネットワーク『ケアラーズ』

 

全英に、120の支部と約1万4000人の会員を通じて、20万人の介護者ネットワークを形成し支援活動を行っているNPO。

介護者のための政策キャンペーン活動から2万5000人の読者を持つ広報誌を通じた介護者への情報提供、独自のネットワークを利用した介護者のための支援事業と、幅広い活動を行っている。

 

「市民の義務と権利を明確に」

処方箋の鍵はNPO

 

イギリス

─『第三の道』と、ある覚え書き

 

イギリスでは、伝統的にチャリティーといわれる非営利部門の活動が活発だ。担い手としてのボランティアは、全人口の三四%を占める。その内容も対象も多岐にわたる。たとえば、「ケアラーズ」(Carers National Association)という組織では、電話相談や行政へニーズをつなげたりと、在宅介護で困った介護者への手助けを行っている。

このようにイギリスにおけるNPOは、指定事業者としてサービス提供の受注を得るだけでなく、福祉自由化でサービスが十分に提供されない層への手助けを行うなど重要な役割を果たしている。そんな背景には政府の姿勢も大きい。

 

 

 

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