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ここに一冊の本がある。『第三の道』。アンソニー・ギデンズというロンドン政治経済大学学長が記したものだ。

著名な社会学者でブレア現首相の政策助言者でもあるギデンズ氏は、"悪しき平等主義を廃して市民の義務と権利を明確にし、積極的に福祉活動に参加すべきだ"と提言した。今までのような「後ろ向きの暗い福祉」ではなく、全員が問題解決にかかわる新たな市民社会による「ポジティブ(前向き)な福祉社会」の形成。この『第三の道』はブレア政権の重要な政策理念となっている。それが具体的なNPO支援政策として結実したのが、ある「覚え書き」である。

政府は、今まで「公」と公の補完と目されていた市民組織の関係を見直すために、一九九八年十一月、公とNPOの関係を記した「コンパクト」(COMPACT)という覚え書きをブレア首相の名の下に作成した。非営利部門と行政が対等な関係で協働して、新しい連帯を実現できるように相互の役割を明示した覚え書きである。日本人から見ればまさに画期的な内容だが、しかし、NPOを積極的に政策レベルに組み入れた協働を提示しているのはイギリスだけではない。

 

フィンランド

─公を監督するNPO

 

フィンランドも急速に進む高齢化と財源問題に対処するため、高齢者政策の基本方針を見直した。フィンランド厚生省は、今までの画一的なサービスの提供を止め、利用者の多様な価値観による自己決定を中心とした社会統合を示した報告書(「2001年に向けての高齢化に関する国家施策-高齢者施策に関する政府委員会報告書」)を作成し、基本指針とした。

 

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タンペレ市にあるボランティア団体『ムモンカンマリ』の、お年寄りが昔を思い出せるように工夫された部屋の様子。

 

 

 

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