従来、この国では、原則としてすべての人が受けられる福祉サービスを「公」を中心に整え、質の高いサービスを提供してきた。しかし、重要な貿易相手国だった旧ソ連の崩壊により、九〇年代初頭には、北欧版バブルが崩壊。失業率が何と二〇%近くに上るほどの不況に陥ってしまう。そんな中、欧州に市場を獲得するために何としてもEU(欧州連合)に加盟する必要があったフィンランドは、不況にもかかわらず財政赤字縮小策を取りさまざまな公的サービスの削減を行った。介護サービスの支出抑制も例外ではなく、九三年に三七%に達したGDP(国内総生産)比の社会保障費全体の割合は、九七年には三三%にまで削減された。
ひと口メモ
“イギリス”の正式名称は?
イギリスあるいは英国と親しまれてきた同国だが、正式な名称はグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国。イングランド、スコットランド、ウエールズを含むグレートブリテンと北アイルランドから成り立っており、その英語標記からUKと略される。国の制度として病院での介護を含め幅広い医療サービスが主に無料で提供され、所得にかかわらず全ての住民が利用できる。また高齢者などへの個別の社会福祉サービスでは、地元の行政府と共にボランティア団体が活躍している。
フィンランドでは男性も産休
1906年に世界で初めて女性に同時に選挙権および被選挙権を認めるなど女性の社会進出が進んでいるフィンランド。就学前の子供を持つ母親の80%がフルタイムで働いている。また父親も「産休」を取ることができ、休業中は約7割の手当が国から出るなど手厚い社会保障制度はさすが北欧だ。
しかし一方で、急速な高齢化などからこれ以上の社会保障費は負担が重く、将来さらに増えると予想される年金財源や提供サービスの維持が課題となっている。(いずれも両国大使館HP資料から)
福祉自由化の問題点
弱者切り捨てへの懸念
ではこうした自由化の問題点は何だろうか?
福祉自由化が徹底的に行われたイギリスを例に見ると、介護の分野で新たな法律(コミュニティーケア法)に基づいて施設ケアから在宅ケアへの転換が図られ、より地域に密着したサービスを提供するという名目で保健・医療・福祉の改革が行われた。これによって、高齢者介護は老人ホームなどでの施設介護から自宅での在宅介護へと移り変わる。