会員にNPO法人格取得を知らせるさわやか愛知の事務所。
NPOがその原点に立ち返って介護保険事業とかかわるとするならばNPOらしい行き方がある。さわやか福祉財団では、早くからNPOと介護保険のかかわりについて四つの選択肢を提唱し、会員関係者の総意で方向性を決めることをアドバイスしてきた。もっぱら介護保険のサービスのみを提供する方法、枠外のサービスのみを提供する方法、組織を二つに分けて連携する方法、組織は分けずに同じ人が枠内・枠外両方の活動をやる方法、である。
特定非営利活動法人の認証を受けて指定事業者になり、ボランティア活動と介護保険事業の二本立てでやっていくさわやか愛知、新たに有限会社を設立して活動をはじめた東京・江東区の「かがやき」、大阪府河内長野市の「河内長野たすけあい」は民間営利企業の有限会社ヒューマンリンクと連携する方法を取った。
このようにNPOは介護保険の「枠内サービス」と「枠外サービス」を車の両輪として行うことができるが、一番求められるのは軸足を「枠外サービス」に置いた活動だ。そうすることによって、営利、非営利が入り乱れる介護保険事業者らが適切なサービスをきちんと提供しているかどうかを監視するオンブズマンとしての機能も果たすことができる。
介護保険は結果としてさまざまな団体、企業に介護サービス事業の門戸を開く。福祉ビッグバンである。利用者本位のサービスがどこまで保証されるかどうか心配だ。それだけに「心のこもった」事業体であるNPOは介護市場の健全な秩序を保つため“ガーディアン”(護民官)としての役割を担っている。
NPO法によって社会的に認知され、介護保険法によって事業体としてのお墨付きを得たNPOはその真価が問われている。介護保険は地方分権の試金石といわれるが、それはNPOにとっても試金石なのである。