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たとえば時間に関して『夜分遅くすみません』、場所に関して『ここでよろしいですか』、自分が話すことに関して『せん越ですが』などなど。こうした気配りは、無意識のうちに話題、場所、時間、話し手、話し方、周りにいる人、話の進め方などの要素が相手に不快感を与えないかを考えているということです」。できるだけこうした要素を意識することは大切だし、ちょっとしたひと言がコミュニケーション度を高める大きな意味を持つという。

ただ、やたらと前置きを付ければいいというわけではない。「言葉は相手との人間関係によって選ぶこともあれば、それによって人間関係をつくり上げていこうという意図もあるのです」(杉戸さん)。時として摩擦が生じるのは、人によって不快感を感じるところが異なり、ここにすれ違いが生まれてしまうためだし、またとても親しい仲間にまで他人行儀な前置きをするのは見当違い。相手によって、また築きたい人間関係によって言葉を選ぶ感覚を磨くことが大切なのだ。

 

物を借りたい時、どんな言い方をしますか? いろいろな相手を想定して考えてみてください。

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(文化庁第21期国語審議会「新しい時代に応じた国語施策について」98年6月より抜粋)

 

 

 

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