特集 新しいふれあい社会を考える
あなたのコミュニケーション度はどのくらい?
ふれあい社会づくりの基本は相互理解の努力から
今、高齢者福祉の仕事を志す若者が最初にぶつかる壁がお年寄りとのコミュニケーションだという。みんなで支え合い助け合う、考えてみればその基本はコミュニケーションだ。心があってもうまく伝えることができなければ宙に浮いてしまうし、また、不本意な伝わり方だとせっかくのふれあいも成り立たない。家族という狭い人間関係から脱し、他人同士も心と心で支え合うのが新しいふれあい社会。そのためには何事も自分本位の以心伝心では済まされない。いわばコミュニケーションはふれあい社会を築くための、なくてはならない潤滑油といったところだ。日ごろのあなたのコミュニケーション度を、ちょっと一緒に振り返ってみませんか?
(取材・文/島村 八重子)
聞き上手はコミュニケーション上手。話し手と聞き手が共に作り上げる「共話」
わが家の家族四人と義母で旅行をした時のこと。八二歳の義母はゆったりと行きたいのでグリーン車を予約してほしいと言う。四人分のグリーン料金はきつかったし、きっと静かなほうがいいだろうと思い、義母の分だけ予約した。ところが義母は「グリーン料金は全員分私が払うつもりだった。みんなでワイワイ行きたかったのに」とがっかり。「それならそうおっしゃってくだされば…」とぼやく私に「言わなくても察してくれると思っていた」。ウーン、上手にコミュニケーションを取るって本当にむずかしい。
「そもそもコミュニケーションというのは一人でできるものではないんですよ」と指摘するのは国立国語研究所杉戸清樹言語行動研究部長。「たとえばAさんが結論まで言わなくてもBさんにはAさんが言いたいことが大体わかる、それはそれまでの話の中に手がかりが与えられていて、Aさんの言いたいことをBさんが察するからなんですね。