堀田 介護保険という公の制度ができて、それと併せるように市民の地域参加意識が高まってきました。介護保険はあくまで身体の安心を支える制度であって、それだけを考えていても本当に暮らしやすい社会にはならないから、地域全体でどう支えていくのか、そうした広い視点からの取り組み方をぜひすすめていきたいですね。
地域協同がめざす新しい地域づくり
堀田 その点、介護保険の枠外となる活動をどう地域で提供していくのかが非常に重要で、私たちNPO、市民団体に強く求められてもくるわけです。
北 生協でいう「くらしの助け合いの会」の活動がそれに当たるわけですが、九八年度で九生協が新たに増えています。現在の会員数が四万七五一六人、活動時間数は九七万時間で、八三年からはじまった中で九八年度は過去最高の伸びなんですね。先ほど二〇生協ほどがホームヘルプサービス事業をやるといいましたけれど、もともとはこの助け合いの会をやっていた生協ですから、ぼくらは心配したんですよ。助け合いの会のほうがしぼまないかなあと。でもまったく杞憂でした。メンバーにアンケートを取ったら六割くらいの人が引き続きボランティア活動をやりたいと。ボランティア活動、精神が根付いてきた証拠なんでしょうね。
堀田 そうですか。草の根団体も同じなんですよ。介護保険ができて、プロとして報酬をもらってしっかり活動するのか、あるいは今までの助け合いの領域で進めていくのか、いわばリトマス試験紙を突き付けられたわけですね。私は早い段階から四つの選択肢として、介護保険の枠内に入る方法、枠外のみで活動する方法、組織を二つに分けて連携する方法、組織も分けずに同じ人が両方の活動をやる方法、これらを会員のみなさんなどの総意で決めてくださいとずっと申し上げてきたんですが、実は私も心配だったんです。プロとしてのお金の報酬が入ってくると、それまでの思いが変質しないだろうかと。でも全然大丈夫でしたね。リーダーの方たち、ふれあいの心が基本だという姿勢がしっかり出ていてとても安心しました。