堀田 女性部のみなさんが中心で。
桜井 そうです。来年には八万人になって、毎年一万人を超えるペースで増えてます。ただ、実際にどのくらい稼働しているかというとまだまだ。うちのじいちゃんが倒れたときのためだけじゃもったいないわけで、その辺が問題です。それと、そもそも福祉というのは競争原理だけで回る世界じゃないし、儲からなければやめますでは済まないわけです。だから目先の介護保険だけを見るんじゃなくて、もっと中長期的な大きな視野の中で考えようよと。要はそこの地域をどうしたらいいか、そこを出発点として考えていくべきだと言っているんです。
北 うちは昨年九月に福祉政策をつくったんですが、その委員会でも、今、桜井さんがおっしゃったように、介護保険か導入されるからではなく、二一世紀に向けて生協がどういう福祉をめざすのか、そこから介護保険も含めた全体の取り組みを議論しようという話をしました。介護保険の市場は二〇一〇年にはおよそ九兆円、関連領域も含めると二〇兆から二五兆円ともいわれています。生協の供給高は約三兆円、三%のシェアを持っているわけです。国民の多くが新しい制度に不安を感じている中で、私たちの果たすべき役割は何なのか。昔、食品公害が問題になったときに生協が不要な添加物を取り除いて安全な製品を作ったのと同じように、介護保険の分野でも温かみのある質の高いサービスを率先してモデルとしてつくり上げていきたいんですね。
堀田 NPO、つまり非営利組織が介護保険事業にかかわる意義の一つは、やはり民間から参人してくる営利事業者に対して質の高い競合相手であるということです。利用者本位のサービスをいかに提供していけるのか。それもただサービスをよくしてあげる、楽させてあげるというのじゃなくて、少しでも相手の自立を援助する精神。それがないとNPOでやる意味がないわけですから。