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おそらくは特養ホームに行った経験などほとんどないに違いない。"老人ホームにサッカーの選手が行って、いったい何のボランティアになるのか"。そんな疑問も不思議ではないし、実際最初は勝手がわからず戸惑う選手もいるという。しかし、その場に参加すればすぐにわかる。子供たちと一緒にボールを追いかける姿、それだけで十分お年寄りたちの心の癒しになる。ボランティアってこんなもの? 何気なく普段やっていることがボランティアになる、ずっと身近なものなのだと、素直に感じられるからである。

「こうした社会貢献の仕方もあると初めて知った」「自分たちも地域に貢献したという満足感が得られた」。こんなコメントが毎回耳に届くのが何ともうれしい。

このように「サッカーさわやか広場」は、高齢者への心のふれあいと施設の地域連携・開放の促進、そしてJリーガーへのボランティア体験と法人市民としてのJリーグの地域参加…と、さまざまな機会になっているが、加えて、参加する子供たちの心の教育、そして子供たちの周辺にいる大人(親・指導者)へのボランティア体験の効果認知という意味合いも非常に大きい。Jリーガーという影響力ある存在が絡むことで、子供たちもより自然にふれあい活動に参加することが可能になる。

「うまいよ」という彼らのひと言に子供たちは胸躍らせる。憧れの選手がお年寄りと握手や言葉を交わし、思いやりを持つ姿勢を見ながら、知らず知らずのうちに影響を受けていくのである。

少年サッカーチームとしては過去四回の最多参加となる小渕サッカースポーツ少年団(埼玉県春日部市)の指導者である辻隆夫さんは指導歴二〇年の大ベテランだ。この活動に参加して、自らも再認識したことがあったという。

 

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99年4月に参加した初石少年サッカークラブの子供たち。

 

 

 

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