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深夜三時にもトイレの見守り、水分補給などの介助にヘルパーが来訪し、朝の七時三〇分にはトイレ、歯磨き、洗面、朝食の用意、衣類交換、服薬準備から仏壇の水、お茶、ご飯の用意をする。それからデイサービスの迎えを待つが、それがない日はヘルパーが来て十二時二〇分に朝食の片付け、昼食の準備、トイレの介助のヘルパーが訪れる。

こうした切れ目のないケアを担う会社の設立は今年の二月一〇日。四月に営業をはじめた。現在九〇人のヘルパーが八町合わせて四〇〇人のお年寄りの世話をする。現在の営業区域は南方、登米(とよま)、豊里、東和、中田、石越、迫、津山(本吉郡)の八町。これら八町の町長と登米郡のもう一つの町である米山町を合わせた九町は、九七年に地元医師会らと「登米地域高齢者ケアサービス体制推進協議会」を結成し、介護保険の実施体制に取り組んだ。要介護調査や認定は九町が一体となって広域的に実施、ホームヘルプサービスと訪問入浴など在宅サービスは株式会社を作って提供することにした。介護を必要とする地域内の高齢者は約三九〇〇人だ。九九年度は米山町を除く八町が実施してきた事業を受託するかたちで営業するが、介護保険スタートと同時にお年寄りと直接、契約を結ぶことになる。

新会社の資本金は一〇〇〇万円。このうち一六〇万円を米山町を除く八町が均等出資、一〇〇万円を榎本社長ら三人の常勤取締役が持ち、残り七四〇万円は九町の住民三七人が出資した。三人の常勤取締役は介護サービス会社コムスンの出身。榎本社長はコムスンの会長でもある。住民株主については各町がそれぞれの仕方で公募した。自営業、農業、社会福祉協議会会長など株主の横顔は多彩である。

旧組織の温存にこだわる地方自治体が一気に新会社設立に踏み切った背景は? まず登米地域の高齢化の現状(九八年度、以下同じ)を見てみよう。人口は九町合わせて九万六六一七人。

 

(表1)株式会社宮城登米広域介護サービスの事業計画(計画と見通し)

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