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資本金一○○○万円 九○人のヘルパーで活動

 

東北新幹線の特急が緑の平野を一直線に突っ走る。仙台、古川駅を過ぎ、田んぼの中に建つ、くりこま高原駅に降り、栗駒山を望む駅前からタクシーを拾って南東へ。緩い起伏を越えて行くと大きな沼のほとりに出る。ラムサール条約で有名になった水鳥の生息地、伊豆沼。白鳥など渡り鳥の飛来で世界的に知られている。残念ながら夏は鳥影はなく、沼に彩りを添えるはずの蓮の花は昨年の水害で全滅したという。ここから東側、登米(とめ)郡を中心とする北上川と迫川に挟まれた地域は登米耕土と呼ぶ沃土に恵まれた穀倉地帯。水田の緑がまぶしい。

目指す「株式会社宮城登米広域介護サービス」は登米地域の要に当たる迫町にある。新築したばかりの社屋の前にはヘルパーの足となる赤い小型乗用車がズラリと並んでいる。榎本憲一代表取締役社長と松永喜久恵常務取締役から一通り説明を受けたあと介護事業部のケアマネージャーに同行して二四時間巡回介護の現場を拝見した。

会社から車で五、六分。午後五時ころ、国道沿いの一軒家で一人暮らしをしているYさん(七四歳)はデイサービスから戻ったばかり。間もなく家事ヘルパーが到着、食事の支度をはじめる。あり合わせの材料で一人分の夕食を用意するには、それなりの工夫がいるだろう。この日の献立は小松菜のお浸し、野菜を多く使った味噌汁、サバの焼き魚、卵とじ。Yさんは糖尿があるので砂糖を使わず薄味にする。冷蔵庫の材料が不足なら、Yさんの了解を得てお金を預かり買物にも行く。そんな手間も含めたホームヘルプを一時間でこなす。

午後八時には介護ヘルパーが訪問、就寝前の足洗い、衣類交換、歯磨き、陰部洗浄などをする。

 

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田代喜毅南方町長(左)と榎本憲一社長。

 

 

 

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