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火曜日の午後組には、象印マホービンでこのシステムの運用を担当している大平正博さんもボランティアに加わっている。

ある金曜日、午前一〇時。長澤喩美子さん(五三歳)がコンピュータの前に座り、大島きよ子さん(六八歳)が傍らでノートを取っていた。

「一三番。六時二八分、電源投入。七時一五分、スイッチオン」と長澤さんがコンピュータの画面を読み上げ、大島さんがそれをノートに記録する。一〇時から一一時までの一時間で利用者全員の信号データを検索して、午前の安否確認は終了だ。

長澤さんは本部でボランティアをするようになるまで、実は「マウス」の使い方も入力の仕方も知らなかったコンピュータ初心者。しかし、今では毎日、午前中にここでデータを検索するのが日課になっている。

「いつまでも電源が入らない人や、電源を接続したままスイッチオンしない人がいると、あれっ、どうしたのかしら、と心配になります」と長澤さん。

そういう時は本部から「お変わりないですか」と電話で確認する。特別に暑かった今年の夏は、「暑くて水ばかり飲んでいた」と電源を入れずにいた利用者もいたが、これまでのところ利用者全員が無事に毎日を過ごしているという。

大島さんは、このボランティアの第一号だ。NTTの元社員ということもあって、コンピュータ・ネットワークを利用したこのシステムに関心を持ち、ボランティアを買って出た。

「やってみて一番よかったのは、地域のことがすごく身近になって、いいお友達ができたことですね」。職業人としての生活が長かった大島さんにとって、ボランティアの仕事はむしろ自分と地域とを強く結び付けるものとなったという。

 

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安否確認の結果を毎日ノートに記録するのもボランティアさんの仕事

 

 

 

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