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ひと目見れば、教授より上手だと誰でもわかるほど格調が高い人が大勢います。好きなことは勉強しますから。そして知的になると婦人もきれいになります。

堀田 それは決め手のせりふですよ(笑)。自信が表情に表れてくるんでしょうね。

日野原 本当にそう。だから堀田先生がやっておられるようなボランティアのネットワークをつくっていくというのはとても大事なことで、どんどん伸びてくれると本当にいいと思っているんです。

堀田 ありがとうございます。医療の分野に限らず、やっと少しずつでも自分たちでやろうという気概が世の中に生まれてきていますから、私たちももっともっと働きかけていきたいとみなでがんばっています。

 

在宅ケアに望まれる住宅改造。

プライドを持てる環境を

 

日野原 それと在宅ケアについてひと言触れますと、日本で在宅ケアが進まない理由の中に、ハウシング(住居)という問題があるんですね。外国より一世紀は遅れてます。もっと住宅の改造にお金を補助するような行政の仕組みが必要なんです。一昨年やっと木造でも三階建てができるように法改正されましたけどね。狭い東京でも三階建てにすることによって、家族間のゆとりも生まれるんです。特に年を取った人には自室にトイレとシャワーを付けてあげる。これからの若い人はシャワーに慣れてきますからね。飛行機の小さな場所でも設置できるんですから、とにかく身体を清潔にできて、失禁したり汚れた下着もちゃんと自分でも処置ができるような空間をつくってあげる。プライドを持って老人が生活できるような場を提供してあげることがQOL(生活の質)の観点からもとても大切なんです。

堀田 本当にそうですね。高齢者の方、当事者のプライドが損なわれないような方法、環境をしっかりと考えてあげないといけない。

日野原 高齢者施設もそうでしょう。私は日本財団に協力して、日本に三つ典型的な老人ホーム、老健施設をつくって、各個室にトイレやお風呂を付けるように指導しましたが、やっと特養でも個室化が少しずつ進んできたけれども、でもまだまだ欧米に比べると半世紀から一〇〇年は遅れているんですから。

 

 

 

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