今から勉強してもちっとも遅くないんですよ。これから六〇歳以上の人材の使い方は、非常に興味のあるところです。
堀田 先生の病院でもさまざまにボランティアさんが活躍されていてすばらしいなと思っているのですが、中でもヘルスボランティアのみなさん、血圧測定からホスピスボランティアまで幅広く活躍されてますね。
日野原 健康に関する知識は誰でも持つことができるし、人に教えることもできます。私は二五年ほど前にライフ・プランニング・センターという財団をつくって、そこで健康に関する正しい知識と技術を習得した人を特に「ヘルスボランティア」と呼んで養成しているわけですが、教授よりずっと上手にやるという実績がありますよ。
堀田 ほおー、そうなんですか?
日野原 聖路加看護大学の学生に、聴診器で血圧の測り方を教えるボランティアの婦人ですとかね。若いころ音大を出てたり、心理学や英文学を専攻してたり、医療とはまったくかかわってなくても私たちのワークショップで勉強して、活動されてます。アメリカの医学校では、三分の一は医者でない人が先生ですからね。
堀田 すべてをお医者さんがやる必要はなくて、ある程度の知識と技術を持てば、ボランティアの立場でもかかわれることはいろいろあると。
日野原 その分医者はもっと患者との会話を増やして、必要な範囲の指示をしてあげる。サジェスチョンですね。医者はよく定期検診を受けなさいと言うでしよ。一番受けないのが医者なんですから(笑)。
堀田 それは困りますねえ(笑)。
日野原 自分ではそこまで必要ないと思うことも患者に要求するんですよ。だから私はいつも言うんですが、自分がやってるようにしてあげなさいと。逆にいえば、国民は自分で責任を持ちなさいということです。でも相談は受けますよと。あまりお金をかけない方法で、そうすれば自分の工夫でやるようになるんです。そうした指導にボランティアで活躍していただく。