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ボランティアの活躍で医療現場はさらに充実する

 

堀田 確かに医療というのは人の命とつながっていますから、どうしてもお医者さんを絶対視してしまいがちですが、そこは私たちも、自分の身体、自分の健康なんですからまず自らがきちんと考えるように意識改革が必要ですね。

日野原 そうそう。だいたい、お金でも株式投資でも、自分で責任持ってやるでしょ。ところが医療だけはお医者さんが専門家だと思い過ぎてるんですよ。そもそも予防に医師の力は無力なんです。命令をするだけで動機付けが下手ですから。日本では医学の中に行動科学が入らなかったために、医師は命令はするけれども、笛吹けど踊らず。それを何十年もくり返してきたんですね。ちょうど日本の社会が、官僚が上に立ってきて住民が成長する機会がなかったのと同じですよ。

堀田 なるほど。

日野原 だいたい健康教育というのは、知識を教えることのようにお医者さんは思ってますけど、そうじゃないんです。大抵のことは本を見ればわかりやすく書いてありますよ。だからどう健康行動を実践するかが問題で、そのためには、経験した人の話のほうがずっと説得性があるし、先生に向いているんです。自分はこう痩せたとか、タバコをこうやめたら成功したとかね。医者は後ろにいてコメンテーターになればいいんですよ。そうしますとね、これからはボランティアの活動というのが中心になってきますよ。

堀田 本当にそうですね。いろいろな体験をした方、知識を持った方がもっとどんどん表に出て活動できる機会があるといいんですが。

日野原 そうですよ。殊に六〇を過ぎてからの人は、自分で選択したボランティアになれるでしょう。だから、自分の向いているところでいろいろと医療の分野にも携わっていただく。

 

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