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開かれた医療と健康予防への意識改革を

 

堀田 まったく同感です。今、日本の医療制度は相当大きな転換を迫られていますね。何のための医学なのか。大変せん越なんですが患者主体という一番基本のところがまだ置き去りにされているように思うんですが、そこをどう変えていけばいいのか、先生はいかがお考えですか?

日野原 はっきり言って改革は外から殴り込みをしないとだめです。大蔵省でも厚生省でも中からはあまり変わらないでしょう。医療も同じで、医療は医者だけのものじゃない。だから制度のあり方でも個々の現場でも、もっと外部のいろいろな人が入っていけるようにする、まずそこからはじめないと。

堀田 医学界だけでなく法律の世界でもどこでも、日本はみなそうですね。専門家集団が固まって外部の意見が入らないからどうしても偏ってしまう。

 

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日野原 アメリカのプライマリーケアがあんなに革新的に良くなったのは、委員会のチェアマンがクリーブランド大学の学長で、委員一〇人のうちお医者さんは四人だけ。残り六人は医者でない見識者が参加して結論を出したんですね。それをクリントン大統領が取り上げて予算を出す。日本は全国規模の大会になると東大の学部長さんとか、もういつも決まった人選ばかりでしょ。

堀田 本当にそうですね。

日野原 教授の選考の仕方にも問題があるんです。専門外の教授の票で当選。こんなことやってる大学はアメリカにはありません。どういう教授が必要なのかを学長、学部長がよく考えて、そのためにはこの五人の教授がよく知ってるから選考委員会を任せようと。知らない教授でも一票を持ったら政治的な選挙になりますから。

 

 

 

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