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中でも、一九八一年に東京都武蔵野市福祉公社が同公社の有償福祉サービスを受けるための資金調達方法として導入し注目されたが、ただし、必ずしもすべてのケースでうまくいくというわけではない。担保物件の評価額に対し、貸付限度額に達すると当然ながらサービスは打ち切りとなる。同様にこの制度を取り入れている東京都世田谷ふれあい公社では、「一〇〇歳まで生存することを前提に生涯貸付限度額に達しないよう頻繁に見直しを行っている。今のところ限度額まで達した例はないが、地価や金利変動等諸事情いかんでこれからどうなるかはわからない」と語る。何しろこの制度のより所は土地価格。バブル時代の右肩上がりならいざしらず、現在の経済情勢では導入に二の足を踏むところがほとんどだ。現在、全国で一七の地域(自治体)が制度化しているが、利用状況は府中市(東京都)のゼロ件、藤沢市(神奈川県)一件、大阪市もゼロ件と、決して活発に利用されているとはいえない。「相談は多いが、年齢、評価額、相続人の同意など諸条件をクリアできずに成立しないケースがほとんど」(兵庫県伊丹ふれあい福祉公社)という。

 

 

 

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