そして腰を直角近くまで曲げて、三階の教室から道路を隔てた体育館まで歩くのだそうだ。これで視野の狭さや難聴、筋力の低下(足が上げづらい)など高齢になって不便になる状態を体験できるという。「身近なものを工夫すればいろいろな疑似体験ができます。学生の反響も期待した以上。ぜひ多くの人に高齢者の身体について知ってもらいたい」と担当の藤田啓子教授は語る。
ちなみに編集部でもこの"簡易疑似体験"を数名にお願いし、検証してみた(前頁写真)。「視界も周囲の音もはっきりせず心細く感じた」(40代女性)、「腰を曲げることで足への負担がかなりあった」(40代・70代男性)といった感想が出た。ただし、ゴーグルを使った視覚調整は、短時間だったせいか、今回はそれほど違和感はないという指摘もあった。
いずれにせよ、こうした疑似体験は高齢者への理解を促進する非常に有効な手立てとなる。子供の時から体験すれば、自然に思いやりの心をはぐくむ機会ともなる。まずはぜひ身近な道具で工夫して体験してみてほしい。
リバース・モーゲージ制度の普及を !
三室成子さん
東京都
「ささやかな土地と家はあるものの老朽化した家を補強補修するお金がないという老人世帯は多いはずです。リバース・モーゲージについてぜひ取り上げてください。このシステムが広がることを願っています」
●『さぁ、言おう』本年4月号のみんなの広場で三室さんの投稿をご紹介したが、その後も数名の方からリバース・モーゲージに興味があるという声が寄せられている。
リバース・モーゲージというのは、簡単にいうと住宅や宅地などを担保にして老後に必要な資金の融資を受け、死後に担保不動産を売却して返済に充てる制度。アメリカで普及し、日本でも、この制度を使えばいわば家屋を手放さずに現金が手に入ることから、高齢者の老後の生活を支える手段として人気が集まった。