九九戸に一二七人、最高齢者は九三歳。女性が三分の二の構成で、各年代にまたがる混住とは異なり、暮らし方にそれほどの違和感はないようだ。
西と東のエレベーター毎にブロックに分け、まず世話人を選んだ。昨年五月末の鍵渡し、六月入居で、一周年祝いを開催したところという。月一回の掃除は有志でする。体の弱い人に強制しない。
会長の船倉さんは六二歳で以前は公務員だった。
顧問の津岡さんは震災前は兵庫区に住んでいた。地震のとき生き埋めになったせいか体調が良くないので掃除は免除してもらっている。
喫茶に顔を見せた六八歳の男性は長年、長田の御蔵小学校前で文具店を営んでいたが、店を畳んでここ北区の復興住宅を選んだ。震災は天が与えてくれた転機だと思うと話してくれた。
「そうでなければ、鶯のさえずるこんな空気の良い終の住みかは当たらなかっただろうから」
長田で枯れかかっていた鉢植えを持って来たら生き返ったとうれしそうだ。住まいの設備のよさにも感謝の声が洩れた。