それをどうつくってあげるかは、やはり医師の仕事のひとつだと思います。
伊丹 治療を医者任せ、病院任せにしている時代はもう終わったと思っています。また、それでは最善の治療効果は得られませんね。薬ひとつ飲むにしろ、健康状態に気を付けるにしろ、自分がしない限りはいい結果に結び付きません。
堀田 先生のような患者主体というお考えが、日本のお医者さんや看護婦さん、みなさんわかってくれるといいんですが、中にはオレが治してやる、薬の中身や治療方法すら教えないといった人も多くて残念です。
伊丹 今の医療システムが問題です。がんのようなむずかしい治療では主治医一人ですべてやるのは無理なんですから、心の面の援助治療、専門の部署を病院の中にきちんと確立するべきです。チームを組んで患者さんを見ていく。がんだけじゃなくて、すべての患者さんに本来心理療法は必要なんですよ。病院にはいろんな専門家がいますでしょう。私はこれからはお笑い療法士も必要だと思っています。病室を回ったり、昼休みは職員を笑わせたり。
堀田 大賛成です。たとえば、専門的な知識はなくてもボランティアさんが病院の中に入ってもらうというのはどうでしょう。精神科のお医者さんは一人でも、周辺のサポートの手があればずいぶん大きな力になるんじゃないかと。
伊丹 とてもいいと思いますよ。