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伊丹 病院の職員もそうですよ。目の前で患者さんの生死に向き合いますから、ストレスがたえません。ですからぜひ笑う機会が多いほうがいい。以前、米国のスロン・ケタリングガンセンターを見学に行ったんですが、ピエロがいるんです。

 

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堀田 ガンセンターの中に ?

伊丹 そうなんです。有名な「アップルサーカス」のピエロの人が二人、ボランティアで。点滴してる人とか病院中、あっちこっち行って笑わせてるんですよ。ここは世界一のガンセンターで、そうした権威あるところが笑いを積極的に取り入れているのを見て非常に心強かったですし、感心しました。

堀田 まさにキラー細胞を強くする治療効果ですね、それも無料の。伊丹先生も実際の病気治療で笑いを活用したユーモアスピーチというのを実践されていますね。

伊丹 がん闘病している方々に一週一話の目標で、身の回りの出来事を楽しく笑えるような短い話にして書きためることをおすすめしています。それを発表し合って一緒に笑うんです。

堀田 家族や友人の方とか。

伊丹 (うなずきながら)こんなことがあったんですが、阪神大震災を被災したあるがん患者さんのことを心配していましたら、しばらくして手紙が来ました。ライフラインも途絶えて自宅の庭で家族と一緒に一週間過ごしていたらしいんですが、震災の時の様子がマンガで書いてあるんですよ。

 

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堀田 ほおー。

伊丹 それがユーモアがあって、こちらもふっと笑ってしまう。

 

 

 

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