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地域の人たちは、介護している状況を気づかいながら、田村さんを頼りにしている。

「付き合いをしないと孤独になっちゃうよ。病人がいるんで付き合いしませんというんじゃ、変になっちゃう。病人も看て付き合いもあって、ストレス解消も大事だね」。仕事を離れて十年以上たった今でも、元の職場仲間や後輩たちから声がかかる。そんな交流も介護疲れをいやす貴重な場となっている。

支えてもらいたい自分を自然体でさらけ出す。そんなところからも、愛情のネットワークははじまるのかもしれない。

 

地域での新たなネットワークづくり

 

お話を伺った三人ともそれぞれにしっかりとした愛情のネットワークを持っていた。特に田村さんは、若い頃からの交友関係も数多く今に続いて支えになっているともいう。本人の人柄もさることながら、「学校が地元だった」ことが利点となっている。

多くの場合、冒頭で紹介した若手ビジネスマンたちのようにさまざまなネットワークを持っていたとしても、時間の経過と共に自然淘汰してしまう。年齢を重ね、やがて日々の暮らしの中に何らかの不自由を感じはじめたとき、自分の周囲の愛情ネットワークを枯渇させないためには、やはり、最後に行き着く先は地域ではないだろうか。

では、その地域のネットワークをどうつくっていけばいいのか ? そんな思案を実践に移そうとしている一人が、千葉滝夫さん(五四歳)。

 

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地域での社会的なネットワークは、高齢者になっての生きがいに大きく影響する。

(写真上)津端さん夫妻と(同下)千葉さん。

 

 

 

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