その結果、行き場を失ってしまう高齢者もかなり出現するでしょう。
このような介護保険制度の盲点をできるだけ小さくするために、今回の介護保険では、図2のように、全国一律の介護給付・予防給付の他に保険者の市町村が特別に必要と認めた種類のサービスを市町村特別給付として「横出しサービス」にしたり、上限を市町村の判断で増やす「上乗せサービス」を可能にしました。しかし、市町村独自のサービスは、その市町村の第一号被保険者(六五歳以上の高齢者)と市町村だけで負担しなければならないため、保険料が大変高くなります。そして、例外的な給付や給付範囲をいたずらに拡大することは、保険制度としては決して好ましいことではありません。
NPOやボランティアも参画して、地域特性を生かした制度づくりを
四年前、都市型震災といわれた阪神・淡路大震災も最大の問題は高齢者問題であり、高齢化率三〇%を超えた仮設住宅は超高齢化社会の先取りといわれ、仮設住宅の孤独死は二三〇人を超えました。現行の老人福祉制度も本格的な高齢社会に対応できる機能を有してはいません。早急に行わなければならない改革は、介護保険を基幹として介護保険制度と老人福祉制度の有機的な連携を図り、高齢者の多様なニーズにきめ細かい対応ができる総合的な高齢者対策を確立することです。