「年寄りはいずれみんな体に障害を持つようになる。そうなっても、パソコンが使えれば、居ながらにして仲間たちとつながっていることができるんです」と言う。
会の最高齢会員は真田ミチさん(八八)。第一回目からの常連で、一人で杖をついて大川さんの自宅まで通ってくる。きれいな白髪に、お手製のもんぺスーツ。着物を仕立て直したものだという。会に通ううちに「どんどん若くなる」と仲間たちもびっくりする真田さんは、まさに「コンピューターおばあちゃん」の見本で、会の看板娘だ。
パソコンをはじめたのは会員になった八六歳の時からだが、今ではパソコンのスイッチを入れることから一日がはじまる。「今朝はね、子供や孫たちが生まれた日が何曜日だったか調べてみたんです」と声を弾ませる。
好奇心が旺盛で、軽い脳こうそくを患って文字が書きづらくなったのをきっかけに八○歳でワープロを覚えた。キーボードの操作に慣れていたこともあって、会に通ううちにどんどん腕を上げ、先日はパソコンでひ孫に名刺を作ってあげた。幼稚園に通うひ孫に「○○幼稚園△△組」という肩書きと名前を入力して、その子の顔写真とかわいいイラストも添えてカラー印刷してあげた。「それは喜びましたよ」。パソコンは孫どころかひ孫とのコミュニケーションの道具にもなっている。
サポーターは二〇代から七〇代まで
『コンピューターおばあちゃんの会』で忘れてはならないのが「サポーター」と呼ばれるパソコン支援者の存在だ。高齢者にわかりやすくパソコンを教えてくれるボランティアで、パソコンが初めてという人にはキーボードに入力するところから手ほどきし、わかるまで丁寧に教えてくれる。「一〇回同じことを聞いてもイヤな顔をしない人」というのが大川さんが設けた唯一の条件だ。