「ふれあい型」グループホームの本当のリスクは何か?
では、いったい選択時の注意点は何か。その大きなポイントは、やはり運営主体の安定性、信頼性だろう。希望に燃えて老後の資金をつぎ込んだものの、入居して一年で閉鎖されてしまったら、悔やんでも悔やみきれない。この不況の時代、民間企業なら計画倒産もあり得るだろうし、そこまででなくとも、当初の契約通りに運営がなされないという恐れもある。有料老人ホームでかつて起こってきたのと似たような問題が起こる可能性は大いにあるから契約時には十分に確認が必要だ。
また、心ある個人の運営であっても、運営者が万一先に死亡したらどうするか?身内の相続争いに巻き込まれかねない。
あるいは、将来介護が必要になったときはどうだろう?ケアの充実をうたうホームであっても、本当にどのくらい面倒をみてくれるのか。
こうしたさまざまな問題点をひとつひとつ自ら検討していこうと、今、各地で、グループホーム運営者たちのネットワークが広がっている。前号でもご紹介した「宅老所・グループホーム全国ネットワーク」もそうだし、当財団の担当者であるグループホーム推進グループの神谷リーダーも「研究会」を起こして委員の方々と会合を重ねている。
ただし、リスクは、こうしたハード面だけではないからやっかいだ。
自らの自宅を開放してグループホームを建設した『グループハウスさくら』代表の小川志津子さんは、「成功するかどうかの大きな鍵は入居者同士の相性や資質」と語っている。そこに一番に求められるのが協調性だ。一見、ハード面の条件の裏で忘れられがちだが、「ふれあい型」グループホームの建設、あるいは入居を考えている人にとっては、どんな入居者をいかに選ぶか、また、誰と暮らすか、が大きなリスクとなる。運営者を含めた同居人と気が合わなければ、毎日が憂うつな日々となるし、あるいはつぎ込んだお金をみすみす捨てて転居せざるを得ないことにもなる。